技術記事 2026年4月19日 読了 約11分

Claude Codeで実際に開発してみてわかったこと——AIエージェント開発のリアル

「AIに開発を任せる」という言葉は聞き慣れてきたが、実際のところどうなのか。Quratedのフロントエンド改善・Slack Bot実装・記事パイプライン構築をClaude Codeと一緒に進めた経験から、うまくいったこと・うまくいかなかったこと・気づいた「任せ方」のコツを書く。

SH
鈴木 保乃香
DesignLink

Claude Codeとは何か、どう使っているか

Claude CodeはAnthropicが提供するCLIベースのAIエージェントだ。ターミナルから起動し、コードの読み書き・コマンド実行・ブラウザ操作まで一連の作業をこなす。チャット形式でやり取りしながら、ファイルの編集やGitのコミットまでやってもらえる。

使い方はシンプルで、プロジェクトのルートでclaudeコマンドを叩いて会話を始めるだけだ。「このNavコンポーネントのメニューを右寄せにして」と言えば、ファイルを読んでCSSを修正してビルドして確認するまでやってくれる。

Quratedでは以下の作業にClaude Codeを使っている。

  • Astroフロントエンドのコンポーネント改修・SEO対応
  • Slack Bot(Node.js)の機能追加・デバッグ
  • GitHub ActionsのCI/CD設定
  • 記事MDXファイルの生成
  • ブラウザを使った表示確認

うまくいったこと

Claude Codeのターミナル画面。ファイル生成・コマンド実行・結果確認までを一つの会話の中でこなしている様子

「読んで・直して・確認する」のループが速い

Claude Codeが最も力を発揮するのは、既存コードを読んで修正し、結果を確認するというサイクルだ。

たとえば「ヘッダーメニューを右寄せにして」という依頼に対して、Navコンポーネントを読み、CSSのmargin-left: autoを追加し、ブラウザで表示確認するまでを一気にやってくれる。人間なら「どのファイルだっけ」と探すところから始まるが、Claude Codeはコードベース全体を把握した状態で動くのでそのステップが省略される。

デバッグが速い

GitHub ActionsのCIが落ちたとき、ログを貼って「なぜ落ちているか確認して」と伝えるとすぐ原因を特定してくれた。twitter-api-v2package.jsonに追加し忘れていた件は、ログを見て30秒で「package.jsonに追加してpnpm installします」と動いた。

コンテキストを持ち越せる

一つの会話の中で「さっき直したNavの話に戻るけど」と言えば、その文脈を保持している。長い作業を続けていても「前に何をやったか」を説明し直す必要がない。

うまくいかなかったこと・気をつけていること

事実確認は必須

最も重要な教訓はこれだ。Claude Codeは「もっともらしい内容」を生成する。記事の原稿を書かせたとき、「最初はNotionをCMSに使っていた」という事実無根の記述が入ったことがあった。実際にはCMSを使ったことは一度もない。

コードと違って、文章の誤りはビルドエラーにならない。読んで気づくしかない。文章を生成させたら、必ず自分で読んで事実確認するというルールは徹底している。

「任せすぎ」に注意する

Claude Codeは非常に積極的に動く。「SEO対策をしてください」と言うと、title・description・ヒーローコピー・CTAボタン・記事末尾CTAまで一気に変えようとする。変更範囲が広くなりすぎると、意図しない箇所まで変わることがある。

「まず何をするか提案してから動いてほしい」と明示的に伝えるか、タスクを小さく区切って一つずつ依頼するほうが結果がコントロールしやすい。

コンテキストの圧縮が起きる

長時間・大量のやり取りが続くと、会話の内容が自動的に圧縮(compact)される。それ以前の詳細なやり取りが要約になるため、細かい経緯が失われることがある。重要な決定や設計方針は、都度ドキュメントやコードのコメントに書き留めておくことが重要だ。

「任せ方」のコツ

使い続けてわかってきた、Claude Codeとうまく働くためのコツをいくつか。

タスクを具体的に伝える 「いい感じにして」は通じない。「Nav.astroのメニューリストにmargin-left: autoを追加して右寄せにして、ビルドが通ることを確認して」のように、何をどうするかを具体的に伝えると意図通りに動く。

確認ポイントを明示する 「変更したらブラウザで表示確認してから教えて」と伝えると、スクリーンショットを撮って表示を報告してくれる。確認ステップを省略されると後で気づきにくい問題が残るので、必ず確認を求めるようにしている。

疑問は素直に指摘する Claude Codeが出してきた内容に違和感があれば、すぐ「それは違う」と言う。AIは指摘されると素直に修正する。遠慮して放置すると、誤った前提の上に作業が積み重なっていく。

コミット・プッシュは自分で判断する コードの変更はClaude Codeに任せても、Gitのプッシュは自分の目で変更を確認してから承認するようにしている。「プッシュしていいですか?」と聞いてくれるので、そこで一度立ち止まれる。

開発体験として何が変わったか

一番大きな変化は、「やってみる」のハードルが下がったことだ。

以前は「このNavのデザイン変えたいけど、CSSを調べて修正してビルドして確認して……」という作業コストが頭をよぎって後回しにすることがあった。今は「右寄せにして」と言えば数分で完了する。アイデアと実装の間にある摩擦が小さくなった。

逆に言うと、考えることの重要性が増した。Claude Codeは「どうやるか」を解決してくれるが、「何をやるか」「なぜやるか」は人間が決める必要がある。実装コストが下がった分、設計や判断に使える時間が増えた——そういう使い方が、AIエージェントとの正しい関係だと思っている。

まとめ

Claude Codeは「コードを書いてくれるツール」ではなく、「一緒に開発を進めるパートナー」に近い。指示の出し方、確認の仕方、任せる範囲の調整——これは人間同士のチームワークと本質的に同じだ。

うまく使えているときは、開発のスピードと質が確実に上がる。うまく使えていないときは、修正のループに入って時間を使う。その差は「何を任せるか」と「何を自分でやるか」の判断にある。

この記事自体、Claude Codeと会話しながら構成を考え、自分で書いた。コードは任せて、文章は自分で書く——今のところ、それがちょうどいい分担だと感じている。


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