こんにちは!QuratedのデザインL、田中です。
前回の記事で、「私たちはAIに作業を預けることで、思考を放棄しているのではなく、ディレクション(指示出し)をする『監督』へと進化している最中なのではないか」というお話をしました。
今回は、その 「監督」としての実践編 です。
もし私が、部下であるAIに「私の書いた記事をもとに、若手向けのプレゼン資料の構成を考えて!」と少し難易度の高い無茶振りをしたら、彼らはどんな仕事をしてくれるのでしょうか? 私が普段から愛用している「Gemini」と「Claude」に同じ指示を出し、それぞれの「個性」を検証してみました。
同じ指示を出しても、AIによって出力の「性格」がどう変わるかがわかります。スペックの比較ではなく、人間のディレクター視点から見た「GeminiとClaudeの適材適所な使い分け」のヒントが見えてきます。
検証のルール:感情に寄り添う「無茶振りプロンプト」
今回は、AIの基礎的な要約力だけでなく、「聞き手の感情を想像するセンス」を比較したかったので、以下のようなプロンプト(指示文)を作成しました。
あなたは優秀なディレクターのアシスタントです。以下のブログ記事(※前回の記事のテキスト)をもとに、社内勉強会で発表するための「プレゼン用スライドの構成案」を作成してください。
【条件】
- スライドは表紙を含めて5〜7枚程度で構成してください。
- 各スライドは「タイトル」「一番伝えたいメッセージ」「スライドに載せる要点」のフォーマットで出力してください。
- 聞き手は「最近AIを使い始めたけれど、自分で考えなくなっている気がして不安な若手メンバー」です。彼らが共感し、最終的に「そういうことか!」と前向きになれるようなエモーショナルな流れを意識してください。
ポイントは、最後の 「不安な若手が共感し、前向きになれるエモーショナルな流れ」 という、あえてフワッとした感情的なオーダーを入れたことです。
デザインなどの視覚情報に引っ張られないよう、出力はテキストのみに限定しました。さて、2つのAIはどう答えてくれたのでしょうか。
Claudeの回答:ロジカルで気が利く「優等生タイプ」
まずはClaudeにプロンプトを投げてみました。出力された構成案の一部がこちらです。
【スライド1】表紙
一番伝えたいメッセージ:AIとの付き合い方に不安を感じている人へ、心理学の視点からヒントをお届けします。
要点:
- 発表者名・所属・日付
- 「最近、自分の頭が悪くなった気がする人、手を挙げてみてください」(アイスブレイク用の問いかけ) 【スライド4】失ったもの と 手に入れつつあるもの
一番伝えたいメッセージ:記憶や作業の力は手放しつつあるけれど、代わりに「伝える力・方向づける力」が鍛えられている。
要点:
- 失いつつある力:暗記力、自力で試行錯誤する粘り
- 育ちつつある力:意図を正確に言語化する力、出力のズレを見抜いて修正指示を出す力
- 脳の役割が「作業者」から「監督」へシフトしている
驚いたのは、1枚目のスライドに「アイスブレイクの問いかけ」を提案してくれたことです!単にテキストを要約するだけでなく、「発表者が現場でどう立ち回ればいいか」までサポートしてくれる気の利き方は、まさに優秀なアシスタント。見出し(スライド4など)も教科書のように対比が整理されていて非常に論理的ですが、少し「真面目すぎる」印象も受けました。
Geminiの回答:感情に直接語りかける「コピーライタータイプ」
次に、全く同じプロンプトをGeminiに投げてみました。出てきた構成案の一部がこちらです。
【スライド2】最近、こんな「ヒヤッと」する瞬間ありませんか?
一番伝えたいメッセージ:皆さんが抱えている「考える力を失っているのでは?」という焦りは、私にもよくわかります。
スライドに載せる要点:
- とりあえずAIに「たたき台作って」と投げてしまう
- エラーが出ても、自力で考える前にすぐAIに頼る 【スライド3】それは退化ではなく、「脳の空き容量」を作っているだけ
一番伝えたいメッセージ:スマホに電話番号を覚えさせたのと同じで、AIに作業を任せることで別のことに脳を使えるようになっています。
これを見た瞬間、「おおっ!」と声が出ました。「最近、こんなヒヤッとする瞬間ありませんか?」など、スライドのタイトル自体が、若手への優しい語りかけになっているんです。「認知的オフローディング」という難しい言葉を使わず、「脳の空き容量」と言い換えるコピーライティングのセンスも抜群。事前の指示だった「エモーショナルな流れ」を、直感的な言葉選びで完璧に表現してくれました。
まとめ:AIにも「個性」がある。最後は人間が組み合わせる
今回のブラインドテストを通じて、AIには機能の優劣ではなく、明確な「個性」があることがわかりました。
- Claude:論理的で抜け漏れがなく、構成の骨組みをしっかり固めたい時に頼れる「優等生」。
- Gemini:人の感情に寄り添い、直感的に刺さる言葉を選んでくれる「コピーライター」。 ディレクターである私の視点から言うと、どちらか一つをそのまま使うのではなく、それぞれの強みを**「良いとこ取り」して組み合わせる**のがベストな使い方だと感じました。
たとえば、実際の業務ではこんな組み合わせ方ができます。
- アイデア1:Geminiが作ってくれた「エモいタイトル」に、Claudeが提案してくれた「アイスブレイクの問いかけ」を足して、プレゼンの最初のツカミを完璧にする。
- アイデア2:Claudeに抜け漏れのないロジカルな「全体の構成案」を作らせてから、そのテキストをGeminiに渡し、「もっと若手に寄り添った温かい言葉に書き換えて」と翻訳してもらう。
- アイデア3:具体的なアクションプランはClaudeの整った箇条書きを採用し、最後の「背中を押すメッセージ」はGeminiの情熱的な言葉を採用する。 「AIという優秀な部下たちの個性を把握し、適材適所で組み合わせて、最終的な決断を下す」 それこそが、これからの私たち人間に求められる「監督としての役割」なのだと、今回の検証を通して改めて実感しています。
こうした各AIの特性や個性を深く理解し、プロジェクトの目的やフェーズに合わせて最適なAIを組み合わせることで、私たちQurated Labはクリエイティブ制作の質とスピードを向上させています。
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