1. 在庫の「ズレ」は、放っておくとお金のロスになる
帳簿では10個あるはずの商品が、棚には7個しかない。逆に、もう売り切れたと思っていた商品が、奥から大量に出てくる。
在庫管理の難しさは、「実際のモノ」と「記録された数字」が、少しずつズレていくことにあります。そしてこのズレは、欠品(売る機会を逃す)と過剰在庫(お金が眠る・廃棄になる)という、両方向のロスを生みます。
紙の帳簿や記憶、あるいは複数人がそれぞれExcelに書き込む運用では、このズレを防ぐのは至難の業です。だからこそ、「入った・出た」を一か所で記録し、誰が見ても同じ数字になる仕組みが効きます。
2. まず「何に一番困っているか」を見分ける
在庫管理の困りごとは、いくつかに分かれます。あなたの場合、どれが一番大きいですか。
- 数が合わない(帳簿と実物がズレる、誰がいつ動かしたか分からない)
- 棚卸しが大変(数えるのに時間がかかる、人手が要る)
- 欠品・過剰在庫(適切な発注のタイミングが分からない)
- 複数の場所(店舗・倉庫・ネットショップで在庫がバラバラ)
私たちがご相談を受けるときも、まず「いま在庫をどう管理していますか?」「いちばん困っているのは、数のズレですか、棚卸しの手間ですか?」とお聞きします。先日伺ったお店は「在庫システムを作りたい」とのことでしたが、よく伺うと商品の種類はそれほど多くなく、本当の悩みは「スタッフ全員がバラバラに記録していて、数が合わないこと」でした。それなら、全員が同じ画面を見て記録できる市販アプリで十分で、専用システムは要りませんでした。
3. 解決の3つの方法と、費用感
下に行くほど自社のやり方に合わせられ、費用も上がります。
方法A. 無料・低価格の在庫管理アプリ(費用: 0円〜月額数千円)
スマホやタブレットで、商品の「入った・出た」を記録できるアプリがたくさんあります。バーコードやQRの読み取りに対応したものもあり、棚卸しもぐっと楽になります。まずはここから試すのが手軽です。
- 向いている: 数のズレ・棚卸しの手間が主な困りごと
- 限界: 複数拠点の連携や、自社独自の管理単位には合わないことがある
- 費用: 無料プランから。 機能を増やして月額数千円〜
方法B. 在庫+販売・発注がつながったサービス(費用: 月額数千円〜数万円)
在庫だけでなく、販売(POSやネットショップ)や発注ともつながったクラウドサービスです。売れたら在庫が自動で減り、一定数を切ったら発注を知らせる、といった連携ができます。
- 向いている: 在庫・販売・発注をまとめて管理したい
- 限界: 自社のやり方をサービスの形に合わせる必要がある。 移行に時間がかかる
- 費用: 月額数千円〜数万円(規模・機能による)
方法C. 自社専用の在庫管理システム(費用: 数十万円〜)
「市販サービスでは、うちの在庫の数え方に合わない」「複数倉庫・独自の単位・他システムと一体化したい」という場合は、自社専用に作る選択肢があります。
- 向いている: 管理が独自・拠点が複数・他システムと連携したい・規模が大きい場合
- 費用感: 必要な機能に絞れば数十万円台から。「いちばん困っている部分」だけに絞ると費用を抑えられます
4. 「結局うちはどれ?」の見分け方
| こんな状況 | 向いている方法 |
|---|---|
| 数のズレ・棚卸しの手間が悩み | A(在庫管理アプリ) |
| 在庫・販売・発注をまとめたい | B(連携型サービス) |
| 拠点が複数・管理が独自・連携したい | C(専用システム) |
どの方法でも共通して大事なのは──「いちばん困っていること」から手をつけること。数のズレが9割の悩みなら、まず在庫アプリ。そこが解決してから、次の困りごとを考えれば十分です。
5. よくあるご質問
Q. バーコードがない商品でも使えますか?
使えます。多くのアプリは、商品名や自分でつけた番号で管理できます。バーコードやQRを後から貼って読み取る運用にもできるので、まずは手入力で始めて、必要になったら読み取りを足す、という進め方が現実的です。
Q. 市販アプリと自作(自社専用)、どちらがいいですか?
まずは市販アプリを試すのがおすすめです。多くの在庫管理は市販で足ります。市販では「自社特有の管理に合わない」と分かってから、専用システムを検討すれば、ムダな出費を防げます。
Q. 頼むとしたら、何から相談すればいいですか?
「何を・どこで・どれくらいの種類、管理していて、いまここが大変」だけで十分です。まずは今のやり方をお聞きします。たいていは市販アプリで足りますが、独自の事情があれば専用の仕組みも含めて一緒に考えます。
6. まず「どこが一番大変か」を、一緒に整理しませんか
在庫管理は、毎日のことだからこそ、小さなズレが積もって大きなロスになります。でも、いきなり全部を変える必要はありません。
「数が合わないのだけでも、なんとかなりませんか?」──その一点からで大丈夫です。私たちはまず、どの方法がご商売に合っていて、どれくらいの費用でできそうかを、ご予算とあわせて正直にお伝えします。「まずは市販アプリで十分ですよ」とお伝えすることもあります。
棚卸しに半日かけていた日が、なくなる。その最初の一歩を、ご一緒できればうれしいです。
から、ご相談ください
ITに詳しくなくても大丈夫です。ご予算の中でできることを、正直にお伝えします。
この記事を書いた人 鈴木 保乃香 (DesignLink) / 受託開発の進行管理・要件整理を担当。中小企業様向けの「予算と要件のバランス設計」を得意としています。ご相談は お問い合わせ から。